発注側が意識すべきホームページ制作会社のSEO対策力

多くのホームページ制作会社は、「SEO対策込みでweb制作します」と明言します。
しかし、実際には制作会社によって対応するSEO対策の範囲・量・質が異なります。

本来、ホームページ制作会社は、ホームページ制作のプロであり、SEO対策のプロではありません。
予算があるなら、ホームページ制作会社とSEO対策会社は別に依頼したほうが確実です。
とはいえ、そういったことは予算が潤沢にある企業なら可能でも、中小・個人事業主の場合はそこまで余裕が無いのが現実でしょう。
そうした場合、ホームページ制作時にSEO対策も重視するなら、ホームページ制作会社の「SEO対策力」を見極める必要があります。
当記事では、そのSEO対策力を見極めるための情報を解説しています。

なお、SEO対策は「on」「off」ではなく、0点から100点のような作業となります。
SEO対策としてどういった作業があるかを理解することで、ホームページ制作会社がどこまで対応してくれるのか把握できます。
「SEO対策込み」という言葉に誤魔化されずに、具体的に確認できるようになるということです。

1.SEO対策作業の説明

近年のSEO対策として行うべき主な作業は、下記の通りです。
①キーワード選定
②キーワード最適化
③ユーザーに評価されるコンテンツ
④ページ表示速度、リダイレクト、javascript、エラーページなど技術面の対策

これらは、Googleの「検索エンジン最適化(SEO)スターター ガイド」を参考に、その他SEO情報や私の経験則からまとめています。

では、それぞれ説明すると

①キーワード選定

キーワード選定とは、どのキーワードをターゲットにするかを選ぶ作業です。

案外軽視しがちですが、キーワード選びは重要で難しい作業です。
通常、クライアントの要望でキーワードを決める事が多いと思いますが、それでは効果的なキーワードとならない場合があります。

例えば、ネジ製造会社が「イモネジ」と呼ばれる自社製品でSEO対策をする場合、
通常であれば「イモネジ」としてSEO対策します。しかし、別名である「ホーローセット」のほうが市場性が高い、あるいはSEO難易度が低い場合、こちらを狙う手もあります。
また、「ネジ 自転車」「イモネジ 自転車」と用途を絞り込んだ対策のほうが効果的な場合もあります。あるいは「千葉県 イモネジ」と限定したほうが、より上位表示の可能性が高いかもしれません。

これらのキーワードを、競合の多さ(難易度)やユーザーがどういったキーワードで検索するのか(市場性)、キーワード検索予測数などを検討・調査し、選定することになります。

②キーワード最適化

キーワードを適切にGoogleに伝える技術がキーワード最適化です。

キーワードをtitleタグ、description、見出しタグ、本文などに適切に埋め込むことになります。
多くの制作会社が行っている作業となりますが、これもどこまで行うのかは制作会社のさじ加減次第です。
例えば、画像のALTへもキーワードを入れたほうが良いケースがありますが、ユーザーには画像のALTは見えません。
これらは、制作会社なら把握している技術が大半ですので、「どこまで丁寧にSEO対策をするか」つまり、「どこまで作業時間をかけるのか?」ということで差が生まれることになります。

③ユーザーに評価されるコンテンツ

Googleは「オリジナルで有用なコンテンツを持つ高品質なサイトが、より上位に表示される」ようにしています。
Googleは、広告収入の会社です。検索結果に表示した広告をクリックして貰うためには、Google検索をより多くの人に使ってもらわないといけません。
より多くの人に「Google検索」を使ってもらうには、Google検索結果がよりユーザーに役立つものでなくてはなりません。
結果として、オリジナルで有用なコンテンツを持つ高品質なサイトが、より上位に表示されることになるのは、納得できることかと思います。

例えば、「イモネジ」製造会社のホームページでは、自社製品の特徴などの説明に終始してしまいがちですが、「イモネジの歴史」「イモネジの用途」「イモネジの長所・短所」なども説明することで、より多くの人に評価されるページとなる可能性が高まります。

全てのページを多くの人に役立つコンテンツとして作成するのは困難でしょうが、そういった意識を持ってコンテンツ設計をするのとしないのでは、結果として大きな違いが生まれます。
ページ作りに「SEO観点」を意識したアドバイス・誘導ができるかは、ホームページ制作会社の技量にかかっています。
また、コンテンツのみならず、ユーザーが理解しやすいUI・ページ構成なども、評価に関係します。

④ページ表示速度、リダイレクト、javascript、エラーページなど技術面の対策

近年、モバイル比率の増大とともに表示速度の重要性が高まっています。
ホームページの表示が遅いと、ユーザーが離脱してしまうこともあります。
こういった事によりGoogleは、ページ表示速度をSEO判断の要素として入れています。
とはいえ、ページ表示速度のみ追いかけると、画像の少ないインパクトの弱いホームページとなりかねません。
このバランスをどうとるか?、ホームページ制作会社の腕の見せ所でもあります。

また、リダイレクトやエラーページなど技術的な部分での処理を適切に構築すると、SEO評価が向上します。
こういった技術的な部分では、クライアント側が直接意識できない場合が多いので、ご注意ください。

2.その他SEO対策作業

上記「1.SEO対策作業の説明」は、いわゆる「内部SEO対策」「コンテンツSEO」と呼ばれる作業になります。その他に「外部SEO対策」と呼ばれるSEO対策があります。

過去には「外部SEO対策」とは、自前の外部リンクを設置するブラックなSEO対策を指す言葉でしたが、近年では「リンクを設置したくなるようなコンテンツを作成すること」といった意味合いでも言われます。

これは、上記「③ユーザーに評価されるコンテンツ」と同じですが、ユーザーに評価されるコンテンツを作成することで、より多くのリンクを設置してもらうことを目指します。
SNSにて拡散しやすいような工夫をすることも、同じ意味となります。

また、SEO対策というより集客コンサルティングとなりますが、「サテライトサイト構築」や「コンテンツマーディングサイト構築」なども効果的な集客対策となります。
これらの作業については、多くのホームページ制作会社は有料作業にしているか、対象外の作業かと思います。

3.まとめ

「SEO対策」とは、ある単純な作業をすれば解決することではありません。
必ず成功する「SEO対策」というものもありません。
細かいSEO対策を積み重ねることで、より確率の高い「SEO対策」となります。

SEO対策とは、行うべき事が多いことが理解して頂けたかと思います。
ホームページ制作時に行うSEO対策の範囲は、制作会社によって大きく異なります。
ホームページ制作発注時、「SEO対策有り無し」ではなく「どこまでSEO対策をしてくれるのか?」が、意識すべき重要な点となります。